知らず知らずのうちにストレスが溜まっているようだった
やるせないこの気持ち どう発散したらいいのだろう・・・
運動公園などで思いっきり走ればいいのか・・・
それとも誰もいない山奥にでも行って思いっきり叫べばいいのだろうか
しかし思うだけでそんな体力などない・・・術も知らない
取り敢えず外に出た
街はネオンで溢れている
国道の喧騒から抜けだす
気がつくと辺りが暗い・・・ 小さな公園が見えてきた
そこを抜けると闇が広がった 灯りなどない
海に来ていた
静かだ・・・
振り返ると
遠くで曲がりくねった道路を走る車のライトが小さくキラキラ光っている
コンクリートの防波堤の上に上ってみた
風が強く吹いている
下を向くと真っ黒で不気味な海が広がる 吸いこまれそうな気がする
かなり深い 足がすくむ
ふと記憶が蘇ってくる
ポケットを探す・・・が・・・ライターはない・・・
タバコをやめてどのくらい経つだろう・・・
そんなどうでもいいことを考えていた
防波堤を歩く・・・いつの間にかテトラポットの傍まで来た
波が荒い そろそろ引き返すか・・・
さて 困った 上ったのは良いがどうやって降りよう・・・
取り敢えず何も考えないことにして・・・飛び降りた
その瞬間 膝の調子が悪く湿布を貼っていたことを思い出した
案の定 着地の瞬間支えきれず体制が崩れた そのまま見事に後転
ひっくり返ってしまった
タックル食らったように綺麗に背中から・・・
ものすごい勢いで羞恥心が襲ってくる と同時に情けなくなった
急いで起き上がろうとしたが止めた
こんな天気の悪い日・こんな時間・こんな場所に誰もいるはずがない・・・
俺・・・ダサっ・・・
いつの間にか体がついてこなくなっていた
コロナの影響・自宅から出ない生活の影響だけではない・・・
そのまま大の字に仰向けになった・・・
不思議な感覚だった 全身でコンクリートの冷たさを感じる・・・
空はどんより曇っている・・・まるで自分の心のようだ
星一つ見当たらない ボーっと見上げていた
どのくらいの時間だったのだろう・・・
暫くして起き上がり砂を払う
公園から出た
道は暗く静かだった
帰路に就く途中 犬を散歩させている男性に遭遇した
振り返り私に気づく
「こんばんは」
暗くて顔など見えない
ただの挨拶だったが一瞬で現実の世界へと戻った感じがした
「こんばんは」軽く会釈した
いつの間にかストレスは消えていた・・・
ポツリ 空から一滴の雨が落ちてきた
どうやら晴れるのはまだ先のようだ・・・