最後のお客様が帰った
店の看板の照明を落とす
人のいなくなったカウンター席に腰掛ける
一人っきりの空間
私ひとりの時間
グラスに砕氷を入れ楽しむのは
” アードベッグ 10年 (ardbeg 10) ”
スモーキーフレーバーの強い 癖のあるアイラだ
流すBGMは
ポリスの『見つめていたい』
スティングの 『フィールズ・オブ・ゴールド』
スティングの『イングリッシュマン・イン・ニューヨーク』
スティング の甘い声が心地良い
キャンドルに灯る炎がゆっくり揺らめく
暫くの間こうしていよう
3曲目が終わろうかという頃ドアがゆっくりと開いた・・・
「いたいた まだいた」
一瞬で現実の世界へ引き戻される
「看板は消えていたけど曲が聞こえた」
村田氏とりえさんが入って来た・・・
「あら 自分の世界に浸ってたのかしら」
「いいのよ 泣いても」
『誰が・・・本日は閉店致しました』
「気にしないで 勝手にやるから」
『・・・』
応えずに照明を落としながら
『タクシー呼ぶので 良かったらこれから私の知り合いの店に行きませんか』
「行く どこでも行く」
ひとりの時間なんてあっと言う間だ
すぐ終わるひと時の癒しの時間・・・
尤も数人で過ごす楽しい時間も嫌いではないが
