凛としている漢
その方の第一印象だった
ビジネス用ハンドバッグを片手にキリッとした真っ直ぐな歩き方
威風堂々 そんな言葉が思い浮かぶ
自信に満ち溢れたようなオーラが漂っていた
「ソルティ・ドッグを」
レモンを半分に切りロックグラスの縁を軽く回す
ソルトの入った容器の上に静かにのせるようにソルトを全体的に縁に付ける
ハンドジューサーでグレープフルーツを絞る
スミノフを45で切り絞ったグレープフルーツジュースで満たす
「マスター 海外とか行かれますか?」
『いえ 日本から出たことがありません』
「僕はね 東南アジアでこのソルティ・ドッグを飲んできました」
その方は東南アジアでの旅行話をしてくれた
旅行代理店などのツアーではなく自分で好きなところへ行ったとのこと
現地でガイドに案内してもらう旅だったようだ
他の外国の方も似たような感じだったという
現地のBARに一人で出かけ
そこにいる外国の方に片言の英語とジェスチャーで話しかけていたと言う
『え! お一人で行かれたんですか?』
「首長族にもあってきました」
道理で普通の人とは違うオーラが漂っていたのだろう
一人で言葉の通じない国へ行き ご当地グルメを楽しむ
私にはない人として”生きる強さ”のような物を感じた
「残念だったのが彼らの中には ”観光” が入ってきていて”見せるもの”になっていたことです」
「民族衣装やアクセサリーなども売っています わりと都会でしたよ」
私がTVで見るイメージとはだいぶ違うようだった
その後も色々な面白い楽しい話を聞かせてもらった
その日彼はソルティ・ドッグを2杯飲んだ
行ったこともない海外に親近感を覚えた
ランプシェード型の地球儀をクルクルとまわす
アイラ島にとまった・・・
パスポートの申請を考えてみようか
尤も日本語以外喋れないのだが・・・
凛とした漢には程遠いようだ