かなりデカい体格の人だった
頭は丸坊主 プロレスラーか格闘家のようだった
何杯でもいけそうな感じだ
真ん中のカウンター席に着くと満面の笑みで
「ブルドックを下さい」
見た目と違い可愛い声だ
ブルドックはソルティドッグのソルトのないカクテルだ
別名「グレイハウンド」や「テールレス・ドッグ」とも言う
グレープフルーツを絞ると柑橘系の香りが店中に広がった
暇を持て余していた村田氏が言った
「私にも同じのを」
「ども」
離れた席で知らない男同士で乾杯をする
つられて私もミラーで
たわいもない会話が男3人の間で始まった
村田氏が映画の話をしたときデカい彼が反応した
「僕 怪獣映画好きなんです」
”僕”と言うところが微笑ましかった
「ゴジラとか？」
村田氏がカウンターに置いてあるゴジラのライターを手にする
「はい 白黒ゴジラから全部見ました」
「よっぽど好きなんだね」
「私は怪獣といえばピグモンかバルタン星人かな」
村田氏のその一言が火をつけたようだった
話はウルトラマンに変わり第何話に初登場とかの話になった
「バルタン星人ってセブンとも戦ったよね？」
デカい彼は村田氏の質問全てに答えた
びっくりしたのがその知識量だ
全て覚えているようだ
いったい何度見たのだろう
ここまで詳しい人物を初めて見た
登場した怪獣全て答えられるのかもしれない
デカい彼は小一時間程で3杯のブルドックを飲み
「また来ます」
と笑顔で帰っていった
「人は見かけによらないね」
「怖い人かと思ったけど気さくな青年だったね」
ゴジラのライターをいじりながら村田氏が笑顔で呟いた
常に笑っていた彼の笑顔は周りの人も笑顔にしたようだ
今度シン・ゴジラを見なければ
