息子の送迎中のことだった
携帯電話の着信音が鳴った
先日親父が入院した病院からだった
車を路肩に止め急いで電話に出る
簡潔に言うと今すぐ病院に向かってほしいと言う 身内の方にも連絡して下さいとの事
息子と一緒だと伝えると他に呼んでおく人がいたら連絡して下さいとの事だった
この時やけに冷静だったような気がする
親父の場合 透析をするとかなりバイタルが下がる 今回もそれだろうと思った
なのであまり深く心配はしていなかった
いや息子の手前心配していないようにしていただけなのかもしれない・・・
身内への連絡は様子を見ることにした
気になったのは途中雨が降ってきた事だった
先程まではとても天気が良かったのに・・・何かの前ぶれだろうか・・・
何とも言えないもやもやした気分になった
二度目の着信音が鳴った
後どの位で着くかという電話だった・・・
雨が本降りに変わった
病院につき ICU(集中治療室)に案内された
中に入ると先生が申し訳なさそうに
「急がせてすいません あれからすぐに回復し今は安定しています」
思った通りだ ホッとした 過去にも何度かあったのでその旨話をした
先生から色々と説明を受けた
これからは大事をとって ICU にて透析をすると言われた
親父の方はと言うと・・・すやすやと何事もなかったかのように寝むっている
息子と一緒に顔を見て安心しその場を離れた
外は相変わらず雨が降り続いていた
帰路につき駐車場に向かっていた時息子が呟いた
「虹だ」
空を見上げると大きな虹がハッキリと綺麗に現れていた
虹を見るのは何年ぶりだろう・・・
大人になってから数えるほどしか記憶にない
ふと病院での親父の寝ている顔が浮かんだ
後何度見れるだろうか・・・
雨はすっかりやんでいた