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虹が二重にかかった日

夜携帯電話が鳴った
親父の入院している病院からだった

急いで出ると「すぐ来てほしい」との事

嫌な予感がした
急いで病院へ向う
病院に着くとICUに看護師が案内してくれた
その落ち着き払った姿から全てを悟った

親父は眠っていた

いや眠っているようだった
モニターに目をやる 無反応だった

数年間にわたる介護生活が終わった瞬間だった・・・

コロナの影響で身内だけの家族葬にした
通夜を終え告別式を終えた

やることがあり過ぎてあっと言う間だった
雨が降っていたのだろう路面が濡れていた
葬儀場の帰りのことだった

息子が呟いた

「虹だ」

空を見上げるとくっきりと虹がみえた

「しかも2重だ」

さらにその上に大きな虹がハッキリと架かっていた
2重の虹を見るのは初めてだった

誰かが言った
「虹見た? お礼を言ってたんじゃないかなぁ」

親孝行などと呼べるものは何一つ出来なかった
いや しなかったのだと思う・・・
余命が短いのは分かっていたはずなのに・・・

認知症 私のことをいつまで息子だと分かっていただろうか・・・
子供のようになって行く父親
こうしてあげればよかった
ああしてあげればよかった
分かっていたのに・・・喧嘩ばかりだった・・・
私の方が大人にならなければなかったのに・・・

これから 後悔の念に駆られることだろう

またいつの日か2重の虹を見ることができるだろうか

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