「こんにちは」
昼間スーパーマーケットの駐車場で声をかけられた
見知らぬ女性だった 笑顔が印象的だ
『?・・・こんにちは』
「お買い物ですか?」
『?え、あ、はい・・・?』
「へ~ ここ利用しているのですね」
『?たまにですが・・・』 取り敢えず笑ってごまかすことにした
「憶えてますか?」
” ジィー ” といたずらっぽく見つめられた
職業柄一度話したことのある人は割と憶えている方なのだが・・・
『はい・・・お疲れ様です』 適当な返事をしてしまった・・・
「ほんとかな?」
さらにいたずらっぽく笑顔で見つめてくる その視線に思わず耐え切れず
『急いでいるのでまた今度ゆっくり・・・』 作り笑顔でそそくさとその場を後にした
振り返ると笑顔で手を振っている つられて手を振る・・・やはり記憶にない
誰だろう・・・
夜 バー ” Basil ” は開店1時間半もたつのに相変わらずの閑古鳥が鳴いている状態だった
その時一人のお客様が入って来た
『いらっしゃいませ』
「こんばんは」
メニューを渡そうとすると
「ジントニック下さい タンカレーで」
『かしこまりました』
指定のタンカレーでジントニックを作り差し出すと
「久しぶりね」
?顔を見た・・・ 一人でいらっしゃったお客様は大抵憶えているのだが・・・
と思った瞬間 いたずらっぽい笑顔で見つめてきた
『あっ昼間ぶり・・・ですよね』
「やっと気付いたか」
昼間は長い髪をアップにしていたが今はおろしていた だいぶ印象が違った
「いつ振りに来たか 本当に憶えてる?」
『えっと・・・結構お久しぶり・・・でしょうか?』
「うん って、おい! 昨日」 「昨日ぶり」
『えっ・・・』 頭の中のメモリーとCPUがものすごいスピードで駆け巡る・・・が一人のお客様はいらっしゃらなかった
「後ろ! 後ろのテーブル席に4人いたでしょ」
『あっあの時の・・・』 確かに4人のお客様がテーブル席に座っていた 尤も話をすることはなかったが・・・ どうやらそのうちの一人だったようだ
『失礼いたしました』
「もぅ・・・」
『お詫びに1杯おごらせてください』
「1杯だけなの?」 またいたずらっぽく笑った・・・
適当な返事をしてしまったばかりにかえって高くつくことになりそうだ・・・自戒
これに懲りずにまた来客してくれればいいのだが・・・
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