初めてイヤホンを買ったのはソニーだった
型番などは忘れたが重低音の出るタイプだったのを覚えている
就職して自分の給料で高価なカナル型を購入して毎日聴きまくった
これまで何度も聞いていた曲が全然違う曲のように感じた
音楽を聴いている間は社会と遮断され自分だけの世界に浸ることが出来た
電車に揺られいつもの風景をただ眺めるだけの時間が音楽で満たされた
笑っている人 寝ている人 本を読んでいる人・・・
車両の中には子供から老人まで色々な人がいた
その全ての喧騒をかき消してくれた
物凄く愛着があり大切にしていた
そんなある日
イヤホンから音が消えた・・・
断線したのだ
この瞬間自分だけの世界が消えた
それからどのくらい月日が流れただろう
数年前に久しぶりにイヤホンを購入した
JVCのHA-FX3X XXシリーズ高価な物ではないが同じく重低音の出るタイプだった
iPodに差して聴く
再び自分だけの世界が蘇る
しかし長くは続かなかった
iPodはバッテリーが膨れ上がるようになっていた
年齢を重ねるごとに目まぐるしく世界が変わり
時に流されそのうちに音楽を聴くことさえも忘れていく
久々に古いiPodを見て復活させることにした
バッテリー交換をして JVCのイヤホンを差す
一瞬で数年前の頃に戻ることが出来た
JVCのキャリングケースを手に取ってみると中にイヤーピースがLとSの2つ入っていた
何気なく交換してみる
耳にした瞬間衝撃が走った
これまで聞いていたのと全然違う重低音だった
気付くのに何年かかっただろう・・・
私の耳の穴はLサイズなのだと
道理で簡単にイヤホンが耳から外れるはずだ