マスク

先日マスクを買いに百均に行った

すれ違う方々の声が聞こえた

「どこも売り切れだね」

きっとマスクを求めて色々なショップを回ったのであろう
コロナウイルスの影響もあってか衛生コーナーには一つもなかった

傍にいた店員の女性の方に聞いてみた

『すいません　マスクがほしいのですがいつ頃入荷予定でしょうか？』

「マスクは今日の午後入る予定です」
「店頭に並ぶのは夕方5時頃かなぁ　ちょっと待っててくださいね」

そう言うとレジに向かいしばらくしてこう教えてくれた

「レシートに電話番号が記入されているので入荷されているか確認してから来られたらいいですよ　その方が確実なので　まだ決まってはいないけどたぶん一人各サイズ1個に制限されると思うので　きっと買えると思いますよ 」

『それでは子供や女性用の小さなサイズ1個と普通の大人用のサイズ1個を両方買えるのですか？』

「そうなると思います　昨日までは普通にあったんだけどね　一人で10個も買っていく人がいたからすぐなくなっちゃった」
「きっと転売目的でしょうね　ネットで何倍もの値段で売っているらしいよ」

『わかりました　夕方にまた来ます　ありがとうございました』

そう言って店を離れた

夕方5時頃再び訪れた　電話はしなかった

先程の女性店員の方が気付いてくれた

「ごめんね　まだ入荷してないの　もうそろそろだと思うのだけど・・・あとね　各サイズ1個ではなく一人1個になっちゃった　ごめんね」

『いいえ大丈夫です　他のを見ながら待っています』

暫くして客と店員の会話が耳に入ってきた

「マスクありますか？」

「レジの前に置いてますよ」

すでにレジの前には人だかりができていた

無事に小さなタイプを1個手にすることができた

レジに並んでいると一人で十数個購入しようとしている人と店側でもめていた・・・

教えてくれた店員の方はレジにいた

『おかげで無事マスクを買うことができました』

お礼を言う

「車に置いたら戻っておいで　別のレジでもう1個購入するといいよ」

『いいんですか？』

「みんなそうしてるよ」

私が小さなサイズと普通のサイズを欲しがっていたのを知って気を使ってくれたのだろう
小さな子供がいると思ったのかもしれない

心遣いが素直に嬉しかった

店を出る前　ふとレジの方を見た

レジに並ぶベビーカーを押している人や子連れの方、妊婦の方、年配の方々が目に入った

その日私が店に戻ることはなかった