その女性はメニューを見ずに言った
「カオル・イーラを」
「ストレートで」
『かしこまりました』
「良ければマスターも何か1杯どうぞ」
『ありがとうございます』
2度勧められお言葉に甘えてミラーを頂くことにした
「どうぞ」
「後、私にもミラーを下さい」
テイスティンググラスを取り出しかけたが止めた
代わりにいつものリキュールグラスに カリラ(CAOL ILA)12年を注ぐ
” Basil ”では ストレートで飲まれるお客様には基本 リキュールグラス で出している
テイスティンググラス は希望があればだす
一回りほど若い彼女からは何か楽しむ”遊び”のようなものを感じた
カリラ(CAOL ILA)を” カオル・イーラ ”とあえて発音する女性は初めてだった
ミラーはチェイサーだろう グラスはたぶん要らないだろうと思いながらも準備しようとすると
「グラスは大丈夫です」
「・・・アイラにしては・・・大人しい でも軽くて美味しい」
ボトル棚を見ながら
「わぁ~ スペイサイド、ハイランド、ローランド・・・キャンベルタウン・・・ボトラーズブランドもいくつかある・・・」
「マスター、スコッチがお好きなんですね」
銘柄だけで産地が分かる方は少ない
どうやらシングルモルトウヰスキーが好みのようだ 同業者かもしれない
平日の寒い日だ
次のお客様が入って来るのはだいぶ遅い時間になるだろう・・・
もしかすると誰も来ないかもしれない
そんなことを考えながらも嬉しくて高揚する自分がいた
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