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理由はないけど・・・

窓を開けると冷たい風に身震いした

目覚めの珈琲を淹れる

体の芯まで温まる頃
ベランダに出て暫くボーっと外を眺めていた
どんよりとした曇り空

何故か急に海が見たくなった

バイクにまたがりセルを回すと集合管の心地良いサウンドが響き渡った
エキゾーストノートを残し冷たい風に吹かれるまま北を目指した

小一時間ほど走った上り坂
防風林を抜けると目の前に真っ青な海が広がった
寒さのせいか曇り空は灰色に染まっている

バイクを止め砂浜を歩いてみた
振り向くと自分の足跡だけが続いている

こんな寒い日に人などいない

遠くに防波堤が見える
近くまで行ってみた

テトラポットにこれでもかと波が押し寄せてはしぶきが飛ぶ
砂浜の波とはあまりにも違う

どす黒く見ていると飲み込まれそうな錯覚を起こす
得体のしれない生き物がこちらを窺っているのかもしれない
そんな恐怖映画のワンシーンが頭をよぎる 

海風が塩辛い
身体が冷えてきた

聴こえるのは風の音と波の音だけ

誰もいない・・・

今この世界にいるのは私一人だけだ・・・

急に自分がちっぽけな存在に思えてくる・・・
まるで時が止まったかのようだ

寒い日の荒れ狂う悲しそうな海

急に眺めたくなる

理由などない 只々眺めたくなる・・・

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